金継ぎのお話

金継ぎや漆について。

金継ぎとは

 壊れた器を漆で直す日本独自の修理技法。室町時代に茶の湯が盛んになると、金で装飾を施す事がおこなわれるようになり、「金継ぎ」(きんつぎ)として広まったと言われています。

 

 西洋では修復したあとがわからないようにする技術が発展しましたが、日本は修復した傷跡をアートととらえ「景色」とよび、より一層愛着をもつようになったと言われています。これは日本独自の文化であり、美意識とも言えるでしょう。

 

 また、古くから日本で受け継がれてきた、モノを大切にする文化がSDGsの取り組みでも世界中から注目を集めています。思い入れのある物を手放す事なく、長く大切に使い、日常生活をより豊かにしてくれることでしょう。

漆について

 漆とは、縄文時代から栽培、採取されてきた天然の接着剤や塗料です。漆の木の表面に傷をつけ、そこから出てくる乳白色の樹液を採取したものが漆液の元になります。この漆液から木屑などゴミを取り除いたものを「生漆」(きうるし)と呼びます。

 

 漆1本の木から採取される量は200ml〜350ml(およそ牛乳瓶1本分)です。この生漆をベースとして、天然の材料を加え、接着剤やパテ、ペーストを作り、修繕していきます。また、漆の大きな特徴は乾燥の仕方です。一般的に乾燥といえば冬のイメージですが、漆は夏によく乾きます。これはウルシオールという主成分が、空気中の水分を取り込んで液体から固体になり、硬化、乾燥します。日本の高温多湿の環境が漆の乾燥には適しているのでしょう。

初めての方へ

「不器用ですが大丈夫でしょうか……」とよく質問されます。

答えはもちろん大丈夫です。金継ぎの良いところの一つに、金継ぎは何度でもやり直しができます。うまくいかなければ、私も何度も何度もやり直しております。

 

「家庭や仕事の都合で、コンスタントに通えないかも」とご心配される方も多くおられます。

大丈夫です。金継ぎは工程にもよりますが、次回のレッスンまで間が空いてもできます。

 

「お直ししたい物が、良い物(高価な物)ではないのですが、それでも良いですか?」

もちろん大丈夫です。大切な物=高価な物ではありません。その方にとっての大切な物は、人それぞれです。

 

「金継ぎをやってみたいけど、破損している物がありません」

という方は、私がいくつか素材を持ってますのでご相談下さい。

 

お直ししたものが甦った時の喜びは代え難いものです。お直し前よりランクアップしたように感じ、より愛着がわきます。見学も可能ですので、何かご質問等、お気軽にお問合せ下さい。

 

※個人差によりますが、乾いてない漆は、漆の主成分であるウルシオールによってアレルギー反応を起こす場合があります。体調、体質、季節によってかぶれる場合がありますが、毒性はありません。万が一、漆かぶれの際の医療保障等、責任は負いかねますのでご承知おき下さい。